会社で働いていると、「XXくんはとても優秀だから!」とか、「YYくんは本当に仕事できないよね〜」みたいな話が聞こえてくることがあります。この「優秀」という定義はどこから来ているのでしょうか?人事を経験し、様々な人と関わったからこそ分かることをお伝えできればと思います。
仕事における優秀と学歴は強い相関を持たない
ひと昔前の採用制度であれば、学歴で人を採用し、学歴が高いほど「優秀だ」という評価をつけていたのだと思います。しかし今の時代は学歴を持っていたとしても「優秀だ」と言われるとは限らない。私は京都大学の学士と修士を卒業していますが、自分の同級生のほとんどが優秀と言われて働いているかというと、そうではないです。会社で働くのが嫌でフリーターをしている人もいます。でもその人は、大学時代農学部で5本の指に入るくらい頭が良かったです。そのため、優秀と言われる理由に関しては様々なファクターが関係していることは間違い無いでしょう。
誤解がないように言っておくと、もちろん学歴を持っている人たちは「受験勉強を成功させた経験」と「努力する才能」を持っている人なので、優秀と呼ばれる可能性は高いです。しかし相関関係は昔と比べて弱くなっているということが言いたいのです。
モチベーションは人間を180°変える
私の周りで優秀だと言われている人たちは、常に自分の仕事をすることにモチベーションがあります。何事もそうですが、前向きに取り組んでいることは身につくのが早いですが、自分の嫌いなことは頑張ってもなかなか覚えられません。いかに自分を動機づけするかが非常に大切になってきます。
学生時代、塾で高校生向けに数学の個別指導のバイトをしていたことがあります。その時に「数学」を苦手だといっている学生によく出会いました。ほとんどの理由が、「今後役に立つかわからない」と思っているからでした。その時に私は数学を教えるのをやめ、1ヶ月間程「将来何になりたいか」を一緒に考えました。(当時の塾長からはかなり怒られましたが笑)もちろんその間は、勉強の進捗も良くなく、中間テストでは赤点ギリギリになってしまった生徒もいました。しかし、「自分が何のために勉強をしているのか」が明確になった学生から、勉強のモチベーションが上がり、成績が驚くほど伸びていったのです。
Aさんのマインド(将来を考える前)
どこの大学にいきたいか?:有名な大学に入りたい(東大・京大・早稲田・慶應等)
なぜいきたいのか?:将来有利だから・楽しそうだから
将来やりたいことは?:大きな企業で働いてたくさん稼ぎたい
モチベーション:大学に入るために、勉強を頑張りたいと思う!
このような状態では勉強をするモチベーションがわかないのも頷けます。すべてがふわふわしているからです。
Aさんのマインド(1ヶ月、将来について話した後)
どこの大学にいきたいか?:名古屋大学 機械・航空工学科
なぜいきたいのか?:自分の夢が明確になって、行きたい大学として定まったから。
将来やりたいことは?:昔から親と海外旅行に行くのが好きで、よく飛行機に乗っていた。その時にもっと速く移動できれば、高齢者の方々も海外旅行に行くハードルが下がるし、自分の親といつまでも海外旅行にいけると思った。だから、世界中をもっと安全に速く移動できる手段を発見したい。
モチベーション:将来航空科学に携わるなら、「物理」と「数学」は絶対必要なので、重点的に勉強する。また、航空科学は海外に有名な企業や大学もあり、共同開発を行ったりする。そのため、「英語」は高校時代にベースを固めて、大学からスピーキングに力を入れる。
では、このようなマインドセットになったらどうでしょうか?モチベーションで満ち溢れると思いませんか?
現にこの学生は名古屋大学に現役で合格しました。
彼は、1ヶ月間全ての勉強を最低限しかせず、残りの時間を大学調査、企業調査、アルムナイ連絡などに使い、人生を決めるための時間にしました。ここまでやっている人と、やっていない人では、勉強に対するモチベーションが違うことも頷けるでしょう。「勉強は受験の道具だ」と考えるのではなく、「この先に活きる」と考えることができればもっと前向きに勉強できるのではないでしょうか?
社会人も同じです。「お金をもらうために仕事をする」からもう一段階レベルを上げて、「お金をもらいながら働いてスキルアップする」と考えるだけで、仕事に対する取り組み方も変わりますし、モチベーションも変わってくるでしょう。
F = maが本当の能力を決める
たとえ、素晴らしい能力(Ability)をもっていたとしても、モチベーション(Motivation)がなくては何も実現できません。プログラミングを作る能力に非常に長けていたとしても、やる気がなければ、ダラダラと制作し、こだわりもなくなり、魅力あるものが作れるとは到底思えません。
実際のスキル(Factual skill)はモチベーション(Motivation)と能力(Ability)の積で決まります。そのため、能力向上だけでなく、自分のモチベーションを維持する術を知っている人が優秀と言われている傾向にありますし、私の周りでもモチベを持っている人たちは常に何かに長けていますし、人から頼りにされています。
能力(Ability)の伸ばし方やどの能力を伸ばすべきかについては以下の記事を確認してみてください。
現在の仕事を見つめ直し、自身の動機づけをする
「なぜこの仕事をしているのか」
「誰のためになるのか」
「どのようなスキルが取得できるのか」
「次のステップは何か」
などを明確化させていくことで、仕事をする意味が見えてくると思います。もし、上記のことを考えても何も浮かんでこない場合は、「そもそも今やっている仕事に興味がない」か「会社が意味のない仕事をしている」かのどちらかなので、部署を変えるか、職場を変えるなどの選択肢をとったほうが良いでしょう。
学歴に翻弄されないようにするために
最近企業では新しいものを生み出すために、クリエイティブなスキルを要求されることが多いです。最近は嗜好品市場の取り合いになっており、人間の心に響くものを販売することが大切になってきています。クリエイティブなスキルは受験で使う英数国理社とは全く関係のないスキルですし、学歴よりも学校外でどんな経験をしたかに依存するファクターがあります。
そのため、現在世の中で必要とされているスキルを整理し、興味をもって取り組めそうな内容を自分で選んで全力で取り組むモチベーションを保つことが、「優秀」といわれるための必要条件だと思います。
Podcastsについて
現在、新卒社員3名と私の合わせて4名で、「明日をもっと明るく」をテーマにPodcastsを配信しています。時には雑談、時には真面目な話と、気軽に片手間で聞いていただくには丁度良いコンテンツになっています!仕事に行きたくないと思える日曜日の夜、緩みやすい水曜日の夜の週2回新しいコンテンツを発信していますので、是非聞いていただけると嬉しいです。